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ときわミュージアム UBE Tokiwa Museum 緑と花と彫刻の博物館

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UBEビエンナーレ

国内で最も歴史と伝統のある彫刻展

 UBEビエンナーレ(現代日本彫刻展)は、現代彫刻の可能性、都市空間と彫刻との関係を追求することを目的に、山口県宇部市で開催している野外彫刻公募展です。野外彫刻に「まちづくり」の視点を導入した企画としては国内初の事例とされています。

 歴史を遡ると、この彫刻事業は、戦後の荒廃した生活空間を住みよいものへと変えていくための緑化事業や花いっぱい運動から派生し「自然と人間の接点として芸術を」という市民提言を基に、1961年に「宇部市野外彫刻展」を開催しました。その後、1963年「全国彫刻コンクール応募展」を経て、1965年から「現代日本彫刻展」、2009年から「UBEビエンナーレ(現代日本彫刻展)」と名称を変えながら、ビエンナーレ(隔年)形式で開催しています。野外彫刻は、美術分野の中でも、特に社会の動きと密接に結びついているため、この彫刻展の展開には、日本の社会・経済の歴史が反映されています。

・当時の宇部市野外彫刻展
当時の宇部市野外彫刻展当時の宇部市野外彫刻展

草創期

 草創期は、まだ日本に「野外彫刻」という概念がない時代(それ以前の野外彫刻はいわゆる偉人の顕彰像に限定される)であり、当時の作品は屋内彫刻をそのまま野外に展示した印象を残しています。大きさも現在とは比較にならないほど小さく、素材もブロンズの代用にコンクリートが使用されるなど、戦後を感じさせる時代で、彫刻家にとっては、材料の確保すら困難な時代だったといわれています。

 1970年ごろには、大阪の万国博覧会などに象徴される、高度経済成長を反映して、野外彫刻が大きな変化を見せることになりました。現代日本彫刻展でも、第3回展(1969年)ではアルミニウム、ステンレス、プラスチックが、第4回展(1971年)ではプラスチックが企業から彫刻素材として提供され、〈工業の新素材と野外彫刻〉をテーマに展覧会が開催されました。

・第4回現代日本彫刻展(1971年)
第4回現代日本彫刻展(1971年)

 また、1968年には兵庫県神戸市で「神戸須磨離宮公園現代彫刻展」が始まり、1969年に神奈川県箱根町の「彫刻の森美術館」が開館し、宇部市を含め、後に「日本の三大野外彫刻展」と呼ばれる展覧会がこの時代に出そろいました。そうした日本全体での広がりの中で、屋内彫刻とは違った、野外彫刻としての方向性が明確にされていきます。

 1970年代の半ばからは、オイルショックをはじめとする景気問題や、乱開発による公害問題が深刻化したことなどを受けて、ヒューマニティを基調とした多様な作品が現れてきました。さらに、80年代以降は、これまでの問題意識が深化され、自然景観や都市景観と共にある彫刻の具体的な在り方が問われ始め、展示される場所のそれぞれに野外彫刻がどのように関わっていくかが個々に追求されてきました。

 その後は「パブリック・アート」として、野外彫刻がより広い範囲の人々の関心を得るようになり、都市景観や文化意識の向上だけではなく、地域振興や地場産業との関わり、観光資源としての側面といったさまざまな要素と関連づけられ、その意味が問われるようになってきています。

・彫刻野外展示場(実物作品)
彫刻野外展示場(実物作品)

・応募作品展会場(模型作品)
応募作品展会場(模型作品)応募作品展会場(模型作品)