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8月4日 砂糖水

(カテゴリ:飼育日記) (投稿日:2015年08月04日)

こんにちは!獣医師です!!

結局ぜんぜんブログ投稿できてないです!どうしよう!!

 

さて、今日のタイトルは砂糖水。

小さいころはこれを置いて蟻を集めたり、

蝶が来ないかなーと待ち続けたりしたものです。

 

でも、動物園で「砂糖水」を使う用事ってなんでしょう…?

わかった、動物に苦い薬を飲ませる時だ!!

と思った方、大正解です。

でも実は、それ以外にもひっそり役立っているんです、砂糖水。

(甘い話かと思いきや…なので、お食事前・お食事中の方は読むのを控えてくださいね!)

 

砂糖水

作りためてある砂糖水

 

砂糖水の使い途、もうひとつの正解は

糞便(うんこ)検査です!

動物のおなかに寄生虫がいると、糞便に寄生虫の卵が出てきます。

その卵を探して、動物が寄生虫をもっていないかどうか調べる糞便検査に、

実は砂糖水を使うんです!

 

うんこ

集められてきたうんこたち

 

ではさっそく検査をしましょう。

まずは糞便を水に溶かして、

ろか

濾過して大きいごみを取り除き、

沈んだよ

遠心分離(寄生虫卵や糞便の固形成分を沈める操作)します。

上澄みの水をいったん捨てて、

砂糖水をいれる

ここに入れるのが砂糖水!

どんどん

どんどん入れます

 

もう一回遠心分離してから、

試験管のいちばん上、こぼれる一歩手前まで砂糖水を入れます。

カバー

そして、カバーグラスでフタをして、待つこと30分。

 

待ち時間に少し説明しましょう。

砂糖水を入れたのは、寄生虫の卵を浮かせるためです。

さっきは水に沈むって言ったのに!と思われるかもしれませんが

砂糖って、少しの水にもかなりたくさん溶かすことができますよね。

たくさん溶かせば、体積あたりの重さはどんどん重くなっていきます。

実はこの砂糖水、寄生虫の卵を浮かせるほど重い、

とても濃く作った砂糖水なんです!!

 

なので、砂糖水より軽い卵は試験管のいちばん上まで浮き上がり、

フタにしたカバーグラスにくっつきます。

卵が充分浮くのを30分間待って…

カバーをとる

カバーグラスをとって

スライドにのせる

スライドグラスに乗せて

顕微鏡

顕微鏡で見る!

 

顕微鏡をのぞいた様子…は、またいつかの機会にとっておきましょう。

(写真がうまく撮れなくて…残念)

動物園で飼われていても、寄生虫卵をもっている動物は案外いるものなのです。

 

生息環境展示では、動物がコンクリートではなく地面の上で暮らします。

コンクリートについた糞便は洗い流せるけれど、

地面の上の糞便はなかなか完全に取りきれません。

 

寄生虫の卵を含んだ糞便が地面に落ちてしまうと、

そこに生えた植物などを食べることで

また別の動物の体に卵が入ってしまいます。

その動物もまた卵を糞便に出すようになって…なんて

そんな悪い循環に陥ってしまわないよう、

動物が新しい施設にお引っ越しする前には

寄生虫を持っていないかどうかの検査をしています。

 

ちなみに、砂糖水ではなく食塩水を使うことも多いそうですが、

卵をよりたくさん見つけやすい気がするのでわたしは砂糖水を使っています。

…なんてマニアな話までしては日が暮れますので(^-^;)今日はここまで。

 

担当:田丸

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