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1月14日 より良いごはんをもとめて ~エリマキキツネザルの栄養研究(1)~
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1月14日 より良いごはんをもとめて ~エリマキキツネザルの栄養研究(1)~

(カテゴリ:飼育日記) (投稿日:2022年01月14日)

みなさんこんにちは!

今日は、昨年度から取り組んでいるエリマキキツネザルの栄養に関する研究を紹介します。

少し長いですが、ぜひ最後までお付き合いくださいね。

20211021 (4).JPG

(※動物のうんちの写真が出てきます)

 

ときわ動物園ではこれまでに、シシオザル、トクモンキー、ハヌマンラングールのエサを果物から野菜中心のメニューに変える取り組みを進めてきました。

「サルといえばバナナ」というイメージをもっている方もたくさんいらっしゃるのではないかと思います。確かにサルたちは、バナナをはじめとする果物が大好きです。しかし、野生でくらす動物たちが食べている果物は、私たちがふだん食べるバナナやリンゴのように甘くてやわらかく、おいしいものではありません。繊維質が多く含まれていて、栄養成分はまったくちがっています。かれらの消化器官の特徴からも、糖質の多い果物よりも野菜のほうが合っていることがわかってきました。

 

エサを変えたことで当園のサルたちもうんちの状態や毛並みがよくなる変化が見られ、やっぱりサルに甘い果物は必要ないんだなと実感。

シシオザル.jpg

シシオザルの毎日のエサにバナナはありません

 

好きなものを好きなだけ食べるうれしそうな動物たちもたまにはいいですが、体に合ったエサを用意して健康な生活をサポートするのはもっと大切なことだと考えています。

だから、エリマキキツネザルの飼育担当になった時、果物いっぱいのエサを見て「野菜にしたほうがいいんじゃない?」と思いました。

  

朝エサ.jpg

当園のエリマキキツネザルの朝ごはん(バナナ・リンゴ・煮イモ・煮ニンジン・キウイ・パイナップル・オレンジ・ペレット)

 

しかし、そう簡単なものでもないようで...

エリマキキツネザルの腸は短くシンプルな形で、食べてから2~3時間でうんちが出てきます。

さらに、うんちの中には果物や野菜のかたまりがごろごろ入っていて、全然消化されていないんです。

同じサルの仲間ではありますが、シシオザルたちとは体のつくりもうんちの様子もまったく違うことに、はじめはとても驚きました。

 

繊維の多い野菜は消化が難しく、エサを変えることでエリマキキツネザルは必要な栄養をうまくとることができなくなってしまうかも。

まずはエリマキキツネザルが何から、どのくらい栄養をとっているのかを知って、体に合ったエサを考えなければなりません。

  

そこで、東京農業大学農学部 動物栄養学研究室の林田まき先生にご相談したところ快くご協力くださり、共同研究を行うことになりました。

  

昨年からエリマキキツネザルの消化機能を調べるために「消化試験」という実験を行っています。これは、エサに含まれる栄養素の量と、それを食べて排泄されたうんちに含まれる栄養素の量を測定して比べることで、動物がどの栄養素をどのくらい消化吸収したかを調べるというもの。

 

2年間の試験では、果物いっぱいのエサをエリマキキツネザルがどのように利用しているのかを調べて、これからのより良いエサを考えるための基礎になるデータを集めています。

まだ分析中で結果はお話しできませんが、どんなふうに研究を進めているのか詳しくご紹介していきます!

 

 

まずはエサを計量。ふだんからすべての動物のエサは重さを計って準備していますが、研究では、何を何グラム与えたのかをきっちり計って記録します。

飼育員だけでなく、ボランティアの佐伯さんにもご協力いただきました。

エサを切る佐伯さん.jpg

佐伯さんの作業風景 エサの準備も記録も正確で手際がよく、大助かり!

 

消化試験の期間中はきっちり計ったエサを与え、週に1回、24時間の間に排泄したうんちをすべて集めます。

 

うんちを集める日は寝室の床にシートを敷き、エリマキキツネザルたちにはそこで過ごしてもらいます。

突然シートを敷くとびっくりさせてしまうので、消化試験をはじめる前に少しずつシートを見せて慣れてもらってからおこないました。

 

20210729.jpeg

試験中もまったりリラックスしたコリッキー

 

 

こうして排泄されたうんちは残さず集めます。

うんこ集め.jpg

水分の多いうんちを集めるにはお好み焼きのヘラを使うのが便利

(※研究打ち合わせのために来園した東京農業大学の佐藤さんに体験してもらった時の写真)

 

 

次に集めたうんちの重さを計って保存。

後から、新鮮なうんちと乾燥させたうんちの重さを比べて水分量の計算もおこないます。

 

そしてここからは地道で地味...でも大切な「うんちの毛取り」をします。

エリマキキツネザルは、体を舐めるグルーミングをします。自分の体も舐めるし、仲間同士でもよく舐め合っています。

20220104(29).jpg

おなかのあたりをグルーミング中のユッキー

 

実はこのグルーミングによってサルたちはたくさんの毛を飲みこんでいて、それがうんちと一緒に出てくるんです。

動物の毛にはタンパク質が多いので、毛が入ったままのうんちを分析すると、実際にサルが排泄したうんちよりもタンパク質が多く出てきて、タンパク質の消化機能を過少評価することになってしまうんです。

これを防ぐために、分析前に毛をすべて取り除かなければなりません。

ヒトの髪の毛よりもはるかに細い毛を一本一本取り除く気が遠くなる作業でした...

 

こうしてできあがったうんちサンプルは冷凍して東京農業大学へお送りし、成分分析をしてもらうのですが、これがまたとっても大変で...

  

続きは次回のブログで!

 

担当:かわで

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