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6月24日 檻に入ってもらっちゃおう!
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6月24日 檻に入ってもらっちゃおう!

(カテゴリ:飼育日記) (投稿日:2016年06月23日)

× 檻に入れちゃおう!
◯ 檻に入ってもらっちゃおう!

このちがいがとーっても大切なんですよ~
という、長―ーーいブログです。
説明に文字数使っちゃいました...
休憩をはさみつつ読んでいただけるとうれしいです!

それではいってみましょー!

 

 

別の建物やほかの動物園に移動させる時、
ケガや病気の治療の時、
ほかにも個体識別のためのマイクロチップを埋める時、
などなど(いずれも飼育員ブログにも登場したシチュエーションですね!)、
動物をつかまえる機会って動物園ではけっこうあるんです。
体の大きな動物の場合は、麻酔で眠らせてつかまえる方法をとりますが、ときわ動物園の動物たちは、基本的に網をかぶせてつかまえたり、檻に追い込んだりしてつかまえます。

網でつかまえたり檻に入れたりするのはカワイソウ、ですが
どれも動物たちの健康で安全なくらしに欠かせないのです。
とはいえ、やっぱりカワイソウ。
そしてつかまえる飼育員にとってもタイヘンで、場合によってはキケンも伴う作業です。
わたしたち飼育員も、捕獲はできればしたくないもの。IMG_1333

これは以前行った動物逸走訓練での捕獲の様子。

逸走訓練なのでちょっとイレギュラーな捕獲シーンですが、ややにやつく4人の飼育員から網をかぶせられるクモザル(役)...こうはなりたくない!!!ですよね?

 

そこで考えたのが、「檻に入ってもらっちゃおう!作戦」!です!
安易で陽気な作戦名そのまま、動物が自分から檻に入ってくれたら、つかまえなくていいじゃーん!というもの。
イヌを飼っている方は、「クレートトレーニング」や「ハウストレーニング」と言うとわかりやすいかもしれませんね。

檻の中に入るといいことがあるんだよ~と学習してもらうものなのですが、これがけっこう大変。
特に過去につかまえられた経験のある動物は、檻と網とこわかった経験をセットにして覚えているので、檻はいや~な思い出の象徴。
檻や網がちらりと見えただけで興奮してしまう個体もいます。
このだいっきらいな檻に自分から入ってもらうためには、だいすき!は難しくても、檻を「こわくないもの」に変えていく必要があります。

 

実は、シシオザルのガッツ、レタス、ヒロの3頭はすでに自分から檻に入ってくれるようになっています。

くれーと

こちらはヒロ(♀)。檻の中でもおちついています。

 
そして、今回のターゲットはハヌマンラングールのリンダ(19才♀)とソフィー(24才♀)。
2頭とも年をとってきて、体の不調も増えてきました。

そふぃー

寒い時期にはこんな掲示を出していたことも。

 

またハヌマンラングールは体が大きくて力が強く、動きも俊敏。
これまでリニューアルに伴う施設移動で数回捕獲をしましたが、いつも飼育員もサルも満身創痍の大仕事でした。
つかまえられたくない動物はもちろん必死で逃げるので、体力を消耗、心拍数も大きく上がります。

動物に負担のかかる作業なので、体調を崩して詳しい検査がしたくても体力を心配して捕獲を躊躇してしまうことも今後出てくるかもしれません。
そんなことで処置できず手遅れに...なんてことにならないよう、動物も飼育員も安全でストレスが少ない方法をさがしていたんです。
さてさて、前述のように捕獲された経験から 檻をこわいものと記憶しているリンダとソフィー。

さらにもともとかなり臆病な性格で初めて見る物が苦手。

そんな彼女たちのトレーニングは、こちらもとっても慎重に進めています。
まずは、檻を「こわくないもの」に変えるため、見慣れてもらいます。
ちょーっとずつ近づけていきます。
閉園時間が近づき、展示場からかえってくる寝室の近くに...
どんっ

クレート 檻壁付け

もともと何もなかった通路に、檻!

(写真右はじのあみあみが、サルたちがくらす寝室の扉です)
はじめてここに檻を置いた時、リンダもソフィーもびっくりしてなかなか室内にもどってきてくれなくなってしまいました...
が、繰り返すうち、徐々に慣れて動じなくなったので、
どどんっ

クレート 檻まんなか

通路のまんなかまで近づけました。

 

さらに慣れてきたので、
どどどんっ

クレート 檻付け
もっと近づけて、扉にぴったりくっつけちゃいます!

またもやなかなかもどってきてくれなくなりましたが、無事に慣れてきたので、最終的には寝室の中に檻を入れちゃいました。

さすがにびっくりして、またもなかなかもどってきてくれなくなったりもしましたが、それでもめげずに続けると、檻があっても気にせずスッともどってきてエサを食べ、自分から檻に触ったり上に乗ったりできるほどに。

はじめた頃には考えられなかった進歩です!

 

もう檻もこわくないね~!

というわけで、本格的なトレーニングを開始しました。

クレート 餌まき

わかりにくいですが、まずはおやつをまいて安心してもらいます。

見慣れた檻でも、置く場所や状況が変わると動物の反応も変わるので、慎重に慎重に!
そして寝室の間の扉に檻が接するように置きます。

檻の方に近づいてきたらごほうびをあげ、もっと近づいたらごほうび、もっともっと近づき、檻に触れたらごほうび、前足がついたらごほうび、両前足がついたらごほうび、......というふうに、「OK!」という合図をごほうびで示して少しずつ檻の中に導いていきます。

クレート リンダ1

なんだこれ?と警戒して近づいてきたリンダ

 

クレート ソフィー2

ちょいと偵察...

 

クレート ソフィー

お、なんだ、おやつくれるのか~!

 

クレート リンダ

...と、こーんなかんじで自分で檻に入ってくれました!

 

まだおしりがすこし外に出ていますし、おっかなびっくり、といった様子ですが、この反応なら思ったよりも早く扉を閉められるようになりそうです。

 

時間と根気の必要な作業ですが、きちんと動物の動きを見て反応を見逃さなければ、少しずつでも確実にトレーニングは進んでいきます。
焦らず地道に、リンダ、ソフィーと一緒に頑張ります!

 
そしてさいごに。
こんなブログを書きましたが、捕獲・保定(動かないようにおさえること)の技術は、飼育員にとってとても大切なものです。

わたしも担当動物に捕獲・保定の必要がある時は基本的に自分で行います。
負担の少ないトレーニングは大切ですが、それでも緊急事態は必ず、そして突然やってきますし、トレーニングは「絶対」ではありません。

時には動物がいやだなと感じることもしなくてはなりませんが、できる限り動物にやさしい方法をさがしてたくさんの選択肢を用意して、いざという時に対応できるように日々準備しています。

 

「檻に入ってもらっちゃおう!作戦」が実際に必要になる日はまだまだ先かもしれませんが、備えあれば憂いなし!

動物たちのくらしに必要なもの、あったらいいなというものをどれだけ先回りして準備できるかが、飼育員の腕の見せどころなのかな~なんて、ちょっとエラソウに思っています。

 

もっともっと先回りして、動物にやさしい飼育員、動物園をめざします!
ふー、我ながら長かったー!
お読みいただきまして、ありがとうございました!

担当:かわで

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